咬合性外傷(歯根破折)とは

咬み合わせが悪いと、ブラッシング(歯磨き)が上手でも、歯は長持ちしません。
このような悪い咬み合わせを咬合性外傷と呼びます。
虫歯治療で詰めたり被せたりした後、何か少し高い気がしたけれど、使っているうちにだんだん気にならなくなったことはありませんでしたか?慣れたのではなく、咬合性外傷によって歯根膜が緩み、歯の可動領域が広がってしまったのかもしれません。
歯の根の周りには歯根膜という、歯を固定し、咬む衝撃を吸収するクッションがあります。たった15/100ミリ程度のクッションですが、とても大切な組織です。それよりも大きな噛み合わせの誤差が生じると、歯根膜やその周囲の組織が破壊され、歯が緩んでグラグラし始めます。
歯と歯の間には5/100ミリ程度の隙間、歯根の周りには15/100ミリの歯根膜のクッションがあります。食べ物を咬むときは、隣同士の歯が支え合って、咬む圧力を分散し合っています。
一番後ろの歯はその後ろに支えがないので、咬み合わせの影響を一番受けやすくなります。事実、一番後ろにある第2大臼歯の寿命が歯の中で一番短く、歯全体の寿命を延ばすには第2大臼歯の長期安定が鍵となります。
- 被せた歯が低いか、咬んでいない歯があると、周りの歯に余計な負担を強いることになります。
- 被せ物などで本来より高くなった歯があると、その歯だけでなく、咬み合う相手の歯にまで悪影響を及ぼします。
- 歯が抜けたままの状態にしておくと、隣の支えとなる歯がないため、横方向に大きく揺さぶられることになります。
咬合性外傷の治療方法
歯1本単位の治療の場合は

- マウスピースで負担軽減
- 咬み合わせの調整
- 高さのあっていない被せ物などを外す
歯全体の治療の場合は

- マウスピースで負担軽減
- 奥歯をインプラントで補強
- 全体的な咬み合わせ治療
自己診断してみましょう
実際には1/100ミリ精度のチェックが必要となりますが、ここでは簡単に自己診断できる方法をご紹介します。
中心咬合位
上下の歯を咬み合わせたとき、奥歯のみが均等に当たっているのが理想です。奥歯で咬んだとき、前歯が強く当たっているなら前歯の咬合性外傷となります。
側方運動
下の顎を左に移動させてください。それまで接触していた上下の奥歯が離れ、左の検視を擦っているはずです。いつまでも左の奥歯が擦っていたり、前歯や奥歯が擦っているなら側方運動時の咬合性外傷です。今度は下顎を右方向に動かして、同様のことを確かめてください。
前方運動
下の顎を前方向に動かして下さい。今まで接触していた上下の奥歯が離れ、前歯を擦っているはずです。いつまでも奥歯が擦っているのなら、前方運動時の咬合性外傷です。
DCS(Dental Compression Syndrome)
DCS(Dental Compression Syndrome)とは、「歯ぎしり」や「くいしばり」のダメージによって引き起こされる症状です。
約90%の人がDCSの症状を持っているにもかかわらず、自覚できている人は5~10%程度しかいません。ギリギリと大きな音をさせる「歯ぎしり」は、比較的自覚しやすいものです。しかしながら、音もさせずにグイッとくいしばることでも、歯に大きな負担を掛けています。この「くいしばり」は音が出ないため自覚・他覚が困難です。
顎の痛み、噛むと響く痛み、しみる、歯と歯茎の境目が削れているなどは、歯に強い負担が掛かっている場合に起こる症状です。
- 咬み合わせの面が削れて、平らあるいはくぼみがある。
- 歯と歯茎の境目が彫れている。
- 上顎や下顎の内側に骨の出っ張りがある。
実際の治療例で考えてみましょう
歯を失ったとき、3種類の歯の作り方が考えられますが、咬み合わせの観点からみるとどうでしょうか?
部分入れ歯

義歯の沈み込む量が、健康な歯と比べて大きいため、義歯の両隣の歯の負担は計り知れないほど大きなものです。他に選択肢がなければしかたありませんが、できれば避けたい方法です。大きな部分入れ歯であればあるほど、残された歯への影響は大きくなります。
ブリッジ

3本の歯の負担を2本で支えることになり、その負担は1.5倍になってしまいます。長期的にみると過負担になってしまい、やはり避けたい方法です。
インプラント

他の歯に余分な負担が掛からないため、残っている歯の寿命を縮めることがありません。ただし、インプラントに向いているかの診断が必要です。

















