「うちの子の歯並び、このままで大丈夫かな?」「矯正治療って、いつから始めるのが一番いいんだろう?」お子様の歯並びについて、このような不安や疑問をお持ちの保護者の方は少なくありません。
子どもの矯正治療は、始めるタイミングが非常に重要です。適切な時期に始めることで、お子様の負担を減らし、より良い治療結果を得られる可能性が高まります。
この記事では、小どもの矯正を始める最適なタイミングやメリット・デメリット、そして後悔しないための歯科医院の選び方まで、分かりやすく解説していきます。お子様の輝く未来の笑顔のために、ぜひ最後までご覧ください。
監修:
子どもの矯正治療をいつから始めるべきか、一概に「何歳から」と断言することはできません。なぜなら、お子様の顎の成長や歯の生え変わりのスピードには個人差が大きいからです。しかし、矯正治療の相談を始めるのに適した「目安」の時期は存在します。
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最初の相談時期は、6歳~7歳頃です。この時期は、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」の初期にあたり、最初の永久歯である「6歳臼歯(第一大臼歯)」や下の前歯2本(中切歯・側切歯)が生え始めるタイミングです。
この段階で一度歯科医師に相談することで、現在の歯並びや顎の状態を評価し、今後の成長を予測することができます。
問題が見つかった場合でも、すぐに治療を開始するとは限りません。お子様にとって最適なタイミングで治療をスタートできるよう、定期的な観察を続けることもあります。
一般的には6歳~7歳頃が相談の目安ですが、以下のようなサインが見られる場合は、年齢にかかわらず早めに歯の専門家(歯科医師)に相談することをおすすめします。
これらの症状は、放置すると顎の骨格の正常な発育を妨げる可能性があるため、3歳~5歳頃の乳歯列期であっても治療を開始することがあります。
| 不正咬合 | 具体的な影響 |
|---|---|
| 反対咬合 | 顎の成長に悪影響を及ぼす可能性がある。 |
| 交叉咬合 | 顔の歪みにつながることがある。 |
| 開咬 | 発音や食事に影響が出やすい。 |
| 上顎前突 | 転倒した際に歯を折りやすいリスクがある。 |
「まだ早いかな?」と迷う必要はありません。子どもの矯正治療では、日本矯正歯科学会が7歳までの専門医相談を推奨していますが、保護者の方が気になったときが相談のタイミングです。
早期に相談することで、歯並びを悪化させる指しゃぶりや口呼吸といった癖を改善するきっかけにもなります。
歯科医院によっては無料相談を実施しているところもあるため、まずはお子様の歯並びの状態を専門家の視点から診てもらうことが、後悔しないための第一歩と言えるでしょう。
大人の矯正治療が主に歯を動かすことを目的とするのに対し、子どもの矯正(小児矯正)は、お子様の成長発育を利用して治療を進める点に大きな特徴があります。治療は主に2つのステップに分かれています。
第1期治療は、乳歯と永久歯が混在する混合歯列期(およそ6歳~12歳頃)に行われる治療です。
この時期は顎の骨がまだ柔らかく、成長が活発なため、骨格的な問題を改善するのに非常に適しています。主な目的は、歯をきれいに並べることよりも、永久歯が正しく生え揃うための「土台作り」です。取り外し可能な「床矯正装置」などを用いて顎の幅を広げたり、上下の顎の成長バランスを整えたりします。
これにより、将来的に永久歯を抜かずに済む可能性を高めることができます。
第2期治療は、全ての歯が永久歯に生え変わった後(およそ12歳以降)に行われる治療で、「本格矯正」とも呼ばれます。
大人の矯正治療とほぼ同じで、主にブラケットとワイヤーなどの固定式の装置を用いて、一つひとつの歯を正しい位置に動かし、最終的な美しい歯並びと機能的な噛み合わせを完成させます。
第1期治療で顎の土台がしっかり整っていると、第2期治療が不要になったり、必要になった場合でも治療期間が短縮されたり、抜歯のリスクを低減できたりするメリットがあります。
子どもの矯正治療は、お子様の成長段階に合わせて適切なアプローチを行うことが重要です。ここでは、年齢別の治療の特徴と目的について解説します。
| 年齢 | 時期 | 主な治療内容 |
|---|---|---|
| 3~5歳 | 乳歯列期 | 反対咬合など、骨格に大きな問題がある場合に早期治療を検討 |
| 6~10歳 | 混合歯列期 | 第1期治療に適した時期。顎の成長をコントロールし、土台作りを行う |
| 11歳以降 | 永久歯列期 | 第2期治療の開始時期。歯並びや噛み合わせを最終的に整える |
この時期の歯並びはまだ完成形ではなく、成長とともに変化していくため、基本的に矯正治療は行わず経過観察となることが多いです。
しかし、前述した「反対咬合(受け口)」や「交叉咬合」など、明らかに顎の成長に悪影響を及ぼす可能性がある場合は、この段階から治療を開始することがあります。
「ムーシールド」といった、主に就寝中に使用するマウスピース型の装置を用いて、顎の正しい成長を促し、舌の癖などを改善する治療が行われます。
この時期は、顎の成長が最も活発であり、乳歯から永久歯への生え変わりもダイナミックに進むため、小児矯正(第1期治療)を始めるのに非常に適した時期と言えます。
顎の骨がまだ柔らかいため、小さな力で骨格のバランスをコントロールしやすく、お子様への負担も比較的少なく済みます。
この時期に顎のスペースを確保することで、永久歯がガタガタに生えてくるのを防ぎ、将来的な抜歯のリスクを減らすことにつながります。
全ての歯が永久歯に生え揃い、顎の成長も落ち着いてくるこの時期からは、第2期治療(本格矯正)が主な対象となります。中高生から始める矯正も、もちろん可能です。
この時期から始めるメリットは、永久歯が全て生え揃っているため最終的なゴールが明確で、治療計画を立てやすい点です。また、お子様自身が治療の必要性を理解し、協力的に取り組めるようになる年齢でもあります。
ただし、成人してから矯正を始める場合は、顎の成長が終わっているため、骨格的な問題が大きい場合は外科手術が必要になるケースもあります。
成長期に矯正治療を始めることには、大人になってからでは得られない多くのメリットがあります。
子どもの矯正における大きなメリットは、顎の成長という自然の力を治療に活かせることです。
大人の硬くなった顎の骨を動かすのとは異なり、成長期の柔らかい骨は小さな力でスムーズに動かすことができます。
これにより、治療に伴う痛みを軽減し、お子様への身体的な負担を少なくすることが可能です。
歯が並ぶスペースが足りない場合、大人の矯正では歯を抜いてスペースを作ることがあります。
しかし、子どものうちから顎の成長をコントロールし、歯列のアーチを広げることで、将来的に永久歯を抜かずに済む可能性が高まります。
ご自身の歯を一本でも多く残すことは、生涯にわたるお口の健康にとって非常に重要です。
指しゃぶり、口呼吸、舌で歯を押す癖などは、歯並びを悪化させる大きな原因となります。
小児矯正では、単に装置で歯を動かすだけでなく、これらの癖を改善するためのトレーニング(口腔筋機能療法)やマウスピースによるトレーニング矯正を併行して行うことがあります。
早い段階で悪い癖を取り除くことで、治療後の後戻りを防ぎ、お口周りの筋肉の正しい発達を促します。
多感な思春期に歯並びのことで悩むお子様は少なくありません。
早い段階で歯並びを整えることで、見た目のコンプレックスを解消し、お子様の健やかな心の成長をサポートすることができます。
人前で自信を持って笑えることは、積極性やコミュニケーション能力にも良い影響を与えるでしょう。
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多くのメリットがある一方で、子どもの矯正治療にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。治療を始める前に、親子でしっかりと理解しておくことが大切です。
特に取り外し式の装置を使用する場合、決められた装着時間を守らなければ計画通りに治療が進みません。
また、矯正治療中は丁寧な歯磨きが欠かせません。保護者の方のサポートはもちろんですが、お子様自身が治療の必要性を理解し、協力する姿勢がなければ、良い結果を得ることは難しくなります。治療を嫌がってしまうと、お子様にとって大きな精神的ストレスになる可能性もあります。
第1期治療から第2期治療へと移行する場合、途中に経過観察の期間を挟むため、トータルの治療期間が長くなる傾向にあります。
一般的に第1期治療で1~3年、第2期治療で1~2年程度かかると言われており、合計で4年以上かかることも珍しくありません。長期にわたる通院や管理が必要になることを念頭に置いておく必要があります。第1期治療から第2期治療へと移行する場合、途中に経過観察の期間を挟むため、トータルの治療期間が長くなる傾向にあります。
一般的に第1期治療で1~3年、第2期治療で1~2年程度かかると言われており、合計で4年以上かかることも珍しくありません。長期にわたる通院や管理が必要になることを念頭に置いておく必要があります。
矯正装置の周りは複雑な構造のため、どうしても汚れが溜まりやすくなります。
特にワイヤーなどを使う固定式の装置は、歯磨きが難しくなり、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。
治療中は、毎食後の丁寧な歯磨きはもちろんのこと、歯科医院での定期的なクリーニングなど、通常以上の虫歯予防対策が必須となります。
「乳歯はいずれ生え変わるから」と、お子様の歯並びの問題をそのままにしていませんか?悪い歯並びを放置すると、見た目だけでなく、心身の健康にまで様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
| 放置するリスク | 具体的な影響 |
|---|---|
| お口の健康 | 歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病のリスクが増加する。 |
| 身体機能 | 発音が不明瞭になったり、食べ物をうまく噛めなくなったりする。 |
| 顎・顔貌の成長 | 顎の骨が正常に発達せず、顔が歪んでしまう可能性がある。 |
| 心理的な影響 | 見た目を気にしてコンプレックスになり、笑顔に自信が持てなくなる。 |
歯並びがガタガタしていると、歯ブラシが届きにくい場所が増え、磨き残しが多くなります。
その結果、虫歯や歯周病の原因となるプラーク(歯垢)が溜まりやすくなり、お口のトラブルのリスクが高まります。
特に、将来にわたって長く使い続ける永久歯を虫歯にしてしまうことは、避けなければなりません。
上下の歯がうまく噛み合わない「開咬」や、歯と歯の間に隙間がある場合、「サ行」や「タ行」などが発音しにくくなることがあります。
また、食べ物をしっかりと噛み砕く「咀嚼」機能が低下すると、胃腸への負担が大きくなったり、顎の健全な発育が妨げられたりすることもあります。
噛み合わせのズレを放置すると、顎の骨が片方だけ発達するなどして、顔全体のバランスが歪んでしまうことがあります。
また、口呼吸が習慣化すると、口がポカンと開いた締まりのない顔つき(アデノイド様顔貌)になるリスクも指摘されています。
子どものうちであれば、矯正治療によってこれらの骨格的な問題も改善できる可能性があります。
子どもの矯正治療は、長い期間をかけて歯科医師と二人三脚で進めていくものです。信頼できるパートナーとなる歯科医院を見つけることが、治療の成功を大きく左右します。
矯正歯科は非常に専門性の高い分野です。特に子どもの矯正は、顎の成長を見据えた治療計画が必要となるため、大人の矯正とは異なる知識と経験が求められます。
日本矯正歯科学会の「認定医」などの資格を持っているかどうかは、専門性を判断する一つの目安になります。
事前にホームページで医師の経歴を確認したり、相談の際に症例を見せてもらったりすると良いでしょう。
治療を始める前には通常、精密な検査が行われます。
その検査結果をもとに、なぜ治療が必要なのか、どのような治療法があるのか、それぞれのメリット・デメリット、期間や費用について、保護者や子ども自身が納得できるまで分かりやすく説明してくれる医師を選びましょう。
質問しやすい雰囲気か、不安に寄り添ってくれるかどうかも大切なポイントです。
矯正治療は、1ヶ月から2ヶ月に1回程度の定期的な通院が必要です。
治療期間が長くなることを見越して、自宅や学校から近く、生活スタイルに合わせて無理なく通い続けられる場所を選ぶことが重要です。
また、平日の夕方や土日も診療しているか、予約は取りやすいかなど、通院のしやすさも事前に確認しておきましょう。
子どもの矯正治療を始めるのに適したタイミングは、永久歯が生え始める6歳~7歳頃に一度、専門医に相談するのがおすすめです。
成長期にお子様の顎の成長を利用して治療を行うことで、負担を少なくしながら、将来的な抜歯のリスクを減らすといった多くのメリットが期待できます。もちろん、治療にはお子様本人の協力や、長期にわたる管理が必要といった側面もあります。
後悔しないためには、信頼できる歯科医院を見つけ、親子で治療内容をよく理解し、納得した上でスタートすることが何よりも大切です。
この記事の編集・責任者は歯科医師の井津上卓也です。
歯科医師 井津上 卓也

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