歯並びを整えて自信を持って笑いたいと考えたとき、最初にぶつかる壁が「ワイヤー矯正とマウスピース矯正、私にはどっちが合っているの?」という疑問ではないでしょうか。治療期間は年単位に及び、費用も決して安くはないため、納得のいく選択をしたいと思うのは当然のことです。
この記事では、両者の違いを費用や期間、痛みといった気になる7つのポイントで徹底比較し、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説します。
読み終わる頃には、あなたのライフスタイルや性格に合った矯正方法が明確になり、自信を持ってカウンセリングへの一歩を踏み出せるようになります。
監修:
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の基本的な違い
矯正治療を検討する際、まず知っておきたいのが両者の具体的な違いです。仕組みが異なるため、生活への影響や治療の進み方にも大きな差が生まれます。ここでは、判断材料となる主要な7つのポイントについて比較していきます。
| 比較項目 | ワイヤー矯正 | マウスピース矯正 |
|---|---|---|
| 見た目 | 装置が見える(裏側や白ワイヤーもあり) | 透明でほとんど目立たない |
| 痛み | 調整直後に鈍い痛みが出やすい | 交換時に締め付け感があるが比較的弱い |
| 費用相場 | 表側:60〜100万円 裏側:100〜150万円 |
全体:80〜100万円 部分:20〜60万円 |
| 期間目安 | 1年〜3年(症例による) | 1年〜3年(ワイヤーより長引く場合も) |
| 適応範囲 | ほぼ全ての症例に対応可能 | 重度の乱れや骨格性の問題は不向きな場合あり |
| 食事・歯磨き | 装置に物が挟まりやすく、ケアにコツが必要 | 取り外せるため普段通りに行える |
| 通院頻度 | 3〜4週間に1回 | 1〜3ヶ月に1回 |
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見た目の違いは一目瞭然
最も大きな違いとして挙げられるのが、装着時の見た目です。ワイヤー矯正は、歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる器具を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かします。そのため、笑ったときや会話の際に金属の装置がどうしても目に入ってしまいます。最近では目立ちにくい白いブラケットや白いワイヤーを選ぶこともできますが、装置が付いていること自体は分かります。
一方でマウスピース矯正は、透明な薄いプラスチック製のマウスピースを歯に被せる方法です。装着していても周囲の人にはほとんど気づかれないほどの透明度があります。接客業の方や人前に出る機会が多い方にとって、この「目立たなさ」は非常に大きなメリットと言えるでしょう。
痛みの感じ方や種類が異なる
矯正治療に痛みはつきものですが、その感じ方には違いがあります。ワイヤー矯正の場合、通院でワイヤーを締め直した直後に、歯が浮くような鈍い痛みを強く感じることが一般的です。この痛みは数日で落ち着きますが、食事を噛むのが辛いと感じる方もいます。また、装置が頬の内側や舌に当たり、口内炎ができる痛みも生じやすいです。
対してマウスピース矯正は、1週間から2週間ごとに新しいマウスピースに交換することで、少しずつ歯を動かしていきます。新しいものに変えた直後は締め付けられるような違和感や痛みがありますが、ワイヤー矯正に比べると力のかかり方がマイルドです。装置の表面も滑らかなため、口の中を傷つけるトラブルも少なくなっています。
費用相場と支払い方法
費用については、治療範囲や選ぶ装置によって幅があります。ワイヤー矯正の表側矯正(歯の表に装置をつける一般的な方法)は、歴史が長く症例も多いため、比較的標準的な価格設定となっています。しかし、装置を歯の裏側につける「裏側矯正(リンガル矯正)」を選ぶと、高度な技術が必要になるため費用は高額になります。
マウスピース矯正は、以前は高額なイメージがありましたが、現在は技術の普及によりワイヤー矯正(表側)と同程度か、あるいは少し安く抑えられるケースも増えてきました。特に、前歯だけを治す「部分矯正」であれば、さらに費用を抑えることが可能です。
どちらの方法も基本的には自由診療となるため、クリニックによってデンタルローンや分割払いが利用できるか確認しておくと安心です。
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治療期間の目安に差がある
歯を動かすスピード自体には、実は大きな差はありません(※1)。どちらの方法を選んでも、全体的な矯正であれば1年から3年程度かかるのが一般的です。ただし、マウスピース矯正の場合は、患者さん自身が装着時間を守れるかどうかで期間が大きく変動します。
指定された装着時間(通常1日20時間以上)を守れないと、計画通りに歯が動かず、治療期間が延びてしまうリスクがあります。また、ワイヤー矯正は歯の移動と並行して咬み合わせの微調整が行いやすいため、トータルの期間が短く済むケースもあります。
ご自身の歯並びの状況によっても期間は異なるため、事前の検査で目安を確認することが大切です。
※1)軽度から中等度の叢生症例では、マウスピース型矯正装置と固定式矯正装置の治療期間に有意差は認められませんでした。
対応できる歯並びの範囲が違う
適応できる症例の幅広さでは、ワイヤー矯正に軍配が上がります(※2)。歯を抜いて大きなスペースを埋める必要がある場合や、歯が複雑にねじれている場合、上下の顎(あご)の位置ズレが大きい場合など、あらゆる難症例に対応できるのがワイヤー矯正の強みです。
マウスピース矯正も技術の進歩により適応範囲は広がっていますが、依然として不得意な動きが存在します。例えば、歯を大きく平行移動させる動きや、埋まっている歯を引っ張り出すような処置は苦手とされています。ご自身の歯並びがマウスピースで治せる範囲内なのか、歯科医師による正確な診断が必要です。
※2)軽度から中等度の不正咬合ではアライナーを固定式装置の代替として使える根拠がありますが、重度症例では支持されません。
食事と歯磨きのしやすさ
日々の生活の質に直結するのが、食事と歯磨きのしやすさです。ワイヤー矯正は装置が固定されているため、食事中に繊維質の野菜や麺類が装置に絡まりやすく、不快感を感じることがあります。また、キャラメルやガムなどの粘着性の高い食べ物は装置が外れる原因になるため、避ける必要があります。歯磨きも複雑になり、タフトブラシを使うなどの工夫が欠かせません。
マウスピース矯正の最大の利点は、食事や歯磨きの際に「取り外せる」ことです。装置を外せば普段と変わらず何でも好きなものを食べられますし、歯磨きもフロスを使って隅々まで行えます。口腔内を清潔に保ちやすく、虫歯や歯周病のリスクを下げられるのは大きな魅力です。
ただし、食後は必ず歯磨きをしてから装着し直す必要があるため、間食がしにくくなるという側面もあります。
通院頻度は大きく異なる
忙しい社会人にとって通院の頻度も重要なポイントです。ワイヤー矯正は、基本的に3週間から1ヶ月に一度のペースで通院し、ワイヤーの調整や交換を行う必要があります。装置の脱離などのトラブルがあれば、その都度急患対応で通院する必要も出てきます。
一方、マウスピース矯正は、治療初期は1〜2ヶ月に1度の通院が必要ですが、順調に進んでいればもう少し通院が減らせることもあります。歯の動きを事前にシミュレーションし、数回分から数十回分のマウスピースをまとめて受け取ることができるためです。
仕事が忙しく頻繁な通院が難しい方や、遠方のクリニックに通いたい方にとっては、通院回数が少ないことは大きなメリットとなります。
ワイヤー矯正が優れている点は?
歴史が長く、多くの実績があるワイヤー矯正には、他の方法にはない確かな強みがあります。「目立つ」というデメリットを補って余りあるメリットについて、具体的に見ていきましょう。
| メリット | 具体的な内容 |
|---|---|
| 確実性 | 難症例や抜歯が必要なケースでも計画通りに治しやすい |
| 矯正力 | 24時間持続的に力がかかるため治療が進みやすい |
| 手間なし | 自分で着け外しする必要がなく、紛失の心配もない |
幅広い症例に対応できる確実性
ワイヤー矯正の最大のメリットは、何といってもその対応力の高さです。出っ歯や受け口、重度のデコボコ(叢生:そうせい)など、非常に幅広い症例に対して柔軟な対応が可能です(※3)。特に、歯を並べるスペースを作るために抜歯が必要なケースでは、歯を大きく移動させる必要がありますが、ワイヤー矯正はこの動きを得意としています。
骨格的な問題がある場合や、複雑な動きが必要な場合でも、ワイヤーの形やゴムかけなどの補助装置を駆使することで、お一人おひとりの目標とする位置へ歯を導く一助となります。
「マウスピースでは難しい」と断られた方でも、ワイヤー矯正なら治療可能なケースは非常に多いため、諦めずに相談してみる価値があります。
※3)クリアアライナー治療は固定式装置よりも、複雑な不正咬合では精度が低くなる傾向があります。
歯を動かす力が強く微調整も可能
ワイヤー矯正は、歯の表面に固定したブラケットを通じて、歯の根っこ(歯根)までしっかりと力を伝えることができます。これにより、歯を3次元的にコントロールし、傾きやねじれを細かく修正することが可能です。治療の終盤において、上下の歯の咬み合わせをミリ単位で微調整する際にも、ワイヤー矯正の精密なコントロール力が発揮されます。
医師の手によって毎回調整が行われるため、歯の動きが想定と異なった場合でも、その場ですぐに軌道修正ができます。機械によるシミュレーション通りに進めるマウスピース矯正に対し、その時々の生体の反応に合わせて柔軟に対応できる点は、仕上がりの完成度を高める上で非常に有利です。
自分で装置を管理する手間がない
ワイヤー矯正は一度装置を装着すると、治療が終わるまで自分では外せません。これは一見不便に思えるかもしれませんが、「自己管理が不要」という大きなメリットでもあります。装着時間を気にする必要がなく、ただ生活しているだけで24時間常に治療が進んでいきます。
マウスピース矯正のように「つい外しっぱなしにしてしまった」「装着時間が足りない」といった自己管理の甘さによって治療が遅れる心配がありません。
意志の強さに自信がない方や、忙しくて細かい管理が面倒だと感じる方にとっては、お任せで進められるワイヤー矯正の方が、結果的に最短ルートでゴールに辿り着けることが多いのです。
ワイヤー矯正で注意すべき点は?
メリットの多いワイヤー矯正ですが、治療期間中にストレスを感じやすいポイントもいくつか存在します。これらを事前に知っておくことで、治療中の生活をシミュレーションしやすくなります。
| 注意点 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 審美性 | 金属の装置が見えるため、見た目が気になる |
| 清掃性 | 食べ物が詰まりやすく、歯磨きに時間がかかる |
| 快適性 | 装置による口内炎や発音のしにくさが生じることがある |
矯正装置が目立ちやすい
やはり一番のネックとなるのは見た目の問題です。白いブラケットやホワイトワイヤーを選べば以前よりは目立ちにくくなっていますが、至近距離で見れば装置が付いていることは分かります。結婚式や成人式などの重要なイベントを控えている場合、写真に残る口元が気になるという方も少なくありません。
ただし、最近では装置を歯の裏側に付ける「裏側矯正」を選ぶことで、この問題を解決することも可能です。また、マスク生活が定着している昨今では、以前ほど口元を見られる機会が多くないため、今のうちにワイヤーで治してしまおうと考える方も増えています。
ご自身のライフスタイルの中で、どこまで見た目を許容できるか検討してみましょう。
食事や歯磨きに制限がある
ワイヤー矯正中は、食事の内容に少し気を使う必要があります。硬いお煎餅や氷を噛むと装置が外れる恐れがありますし、繊維質の野菜やお肉は装置に絡まりやすいです。カレーやコーヒーなどの着色しやすい飲食物は、ゴムの色を変色させてしまうため、調整日の直前まで我慢するといった工夫も必要になります。
また、歯磨きには通常より時間がかかると考えてください。装置の周りはプラーク(歯垢:しこう)が溜まりやすく、虫歯や歯周病(ししゅうびょう)のリスクが高まります。歯間ブラシやタフトブラシといった補助用具を駆使して、丁寧に汚れを落とす習慣が不可欠です。
面倒くさがりの方にとっては、この日々のケアが少し負担に感じるかもしれません。
口内炎や不快感が出やすい
装置を付けた当初は、ブラケットやワイヤーが唇や頬の内側の粘膜に擦れて、口内炎ができることがよくあります。特に喋る機会が多い仕事の方は、擦れる頻度が高くなるため痛みを感じやすい傾向にあります。慣れてくれば粘膜が強くなり口内炎もできにくくなりますが、最初の1〜2ヶ月は辛抱が必要な時期です。
歯科医院では、装置をカバーするための専用ワックスをもらえることが多いため、痛いときはそれを使って患部を保護します。また、装置の厚みによって口元が少し盛り上がって見えたり、口が閉じにくくなったりする違和感を感じることもあります。
これらの不快感は時間の経過とともに慣れていくことがほとんどですが、デリケートな方は事前に医師に相談しておくと安心です。
マウスピース矯正が優れている点は?
近年、急速に普及しているマウスピース矯正。その人気の理由は、現代人のライフスタイルにマッチした快適さにあります。ワイヤー矯正のデメリットを解消する数々の特徴について解説します。
| メリット | 具体的な内容 |
|---|---|
| 審美性 | 透明で周囲に気づかれにくく、写真写りも自然 |
| 清潔性 | 取り外して歯磨きができるため、口内環境を保ちやすい |
| 安全性 | 金属を使用しないためアレルギーの心配がなく、怪我もしにくい |
装置が透明で目立ちにくい
マウスピース矯正を選ぶ方の多くが、この「目立たない」という点を理由に挙げています。厚さ0.5ミリ程度の透明な素材で作られているため、装着していても歯の色と同化し、至近距離で会話をしても気づかれないことがほとんどです。営業職や接客業など、人前に出る仕事をしている方でも、見た目を気にせず治療を続けられます。
また、結婚式や面接、重要なプレゼンテーションなど、「ここぞ」という場面では一時的に取り外すことができるのも大きな強みです。写真撮影の際も、装置の映り込みを気にせず思いっきり笑うことができます。
大人の女性にとって、社会生活への影響を最小限に抑えられる点は、何にも代えがたいメリットと言えます。
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食事や歯磨きは普段通りできる
食事の前にサッと取り外せるため、食べ物の制限は一切ありません。硬いものや粘着性のあるもの、着色しやすいものも、何も気にせず楽しむことができます。友人とランチに行く際も、装置に食べ物が詰まるのを気にして口元を隠す必要がなく、ストレスフリーに食事を楽しめます。
歯磨きの際も装置を外して行うため、矯正前と同じようにフロスや歯間ブラシを使うことができます。ワイヤー矯正のように複雑な器具の隙間を掃除する手間がないため、虫歯のリスクを低く抑えることができます(※4)。
マウスピース自体も水洗いや洗浄剤で清潔に保てるため、口臭などの衛生面が気になる方にも適しています。
※4)Invisalignで治療した患者は、固定式矯正装置の患者よりも歯周状態が良好で、治療中の満足度も高い結果でした。
ワイヤー矯正より痛みが少ない
マウスピース矯正は、一つのマウスピースで歯を動かす距離が0.25ミリ程度と非常に細かく設定されています。一度に大きな力をかけるワイヤー矯正と比べて、歯にかかる力が分散されるため、痛みが比較的マイルドだと言われています。新しいマウスピースに交換した直後は締め付け感がありますが、激痛で食事ができないということは稀です。
また、ブラケットやワイヤーのような突起物が一切ないため、口の中の粘膜を傷つける心配がありません。口内炎ができるトラブルも少なく、スポーツや楽器演奏をする際も、口の中を切るリスクがないため安心して取り組めます(※5)。
痛みに敏感な方や、快適さを重視する方には非常に適した方法です。
※5)クリアアライナーは、矯正治療開始後7日間において、固定式装置よりも有意に痛みが少ない傾向がありました。
金属アレルギーでも治療可能
ワイヤー矯正で使用される一般的な装置には、ニッケルやクロムといった金属が含まれており、金属アレルギーの方は治療が難しい場合がありました。しかし、マウスピース矯正で使用するのは医療用プラスチック素材のみです。金属を一切使用しないため、金属アレルギーをお持ちの方でも安心して治療を受けることができます。
これまでアレルギーを理由に矯正を諦めていた方にとって、マウスピース矯正は有力な選択肢となります。体に優しい素材で治療ができるという安心感は、長期間にわたる矯正生活において精神的な支えにもなるでしょう。
マウスピース矯正で注意すべき点は?
一見、良いこと尽くしに見えるマウスピース矯正ですが、実はワイヤー矯正以上に患者さん自身の協力度が結果を左右します。望ましい結果を得るために知っておくべきリスクや注意点を確認しましょう。
| 注意点 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 装着時間 | 1日20〜22時間の装着を守らないと歯が動かない |
| 適応症例 | 骨格的な問題や複雑な動きが必要なケースは対応外のことがある |
| 管理責任 | 紛失や破損のリスクがあり、自己管理能力が問われる |
装着時間を守る自己管理が必須
マウスピース矯正の最大のハードルは、「1日20時間以上」という装着時間を毎日守り続けることです。食事と歯磨きの時間以外は、基本的にお風呂に入っている時も寝ている時も常に装着していなければなりません。もし装着時間が不足すると、歯が計画通りに動かず、次のマウスピースが入らなくなってしまいます。
「ちょっと休憩」と外している時間が長くなったり、飲み会の席で長時間外しっぱなしにしてしまったりすると、治療期間が延びるだけでなく、計画通りの改善が見込めず、マウスピースの作り直し(追加費用)が必要になることもあります。
自由に取り外せるというメリットは、裏を返せば「自分で管理し続けなければならない」という重い責任とセットであることを覚悟する必要があります。
対応できない難しい症例がある
マウスピースの素材や技術は進化していますが、それでも万能ではありません。歯を大きく動かす抜歯症例や、骨格のズレが大きい受け口、歯の根っこの向きを大きく変える必要があるケースなどは、マウスピース単独では治療が難しいことがあります。
無理にマウスピースだけで治そうとすると、歯が傾いてしまったり、咬み合わせがおかしくなったりするトラブルに繋がる可能性があります。ご自身の歯並びが適応範囲内かどうかを、矯正の知識が豊富な歯科医師にしっかりと診断してもらうことが重要です。
場合によっては、最初の一期間だけワイヤーを使い、途中からマウスピースに切り替えるといった併用治療が提案されることもあります。
装置の紛失や破損のリスク
取り外せるがゆえに起こるのが、紛失や破損のトラブルです。外食時にナプキンに包んで置いておいたら、店員さんにゴミと間違えられて捨てられてしまった、というのはマウスピース矯正における「あるある」です。また、飼っているペットがマウスピースを噛んで壊してしまうというケースも意外と多くあります。
紛失や破損をしてしまうと、再製作のために時間がかかり、その間治療がストップしてしまいます。また、クリニックによっては再製作費用がかかる場合もあります。
専用のケースに入れて常に持ち歩く習慣づけや、保管場所を決めておくなど、日常生活での細やかな注意が必要です。
結局どっち?あなたに合う矯正方法の選び方
ここまで両者の違いを見てきましたが、最終的にどちらを選ぶべきか迷っている方もいるでしょう。ここでは、4つの判断基準をもとに、あなたに最適な方法を整理します。
| 判断基準 | ワイヤー矯正がおすすめな人 | マウスピース矯正がおすすめな人 |
|---|---|---|
| 歯並び | 重度のデコボコ、抜歯が必要 | 軽度〜中度の乱れ、すきっ歯 |
| 生活 | 装着時間の管理に自信がない | 人前に出る機会が多い |
| 性格 | 丸投げして確実に治したい | 几帳面でルールを守れる |
| 費用 | 費用を抑えたい(表側) | 多少高くても見た目を優先したい |
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歯並びの状態で選ぶ
まず最優先すべきは、医学的な適性です。担当医の診断により「マウスピースでは難しい」と言われた場合は、素直にワイヤー矯正を選ぶことをお勧めします。無理をしてマウスピースを選んでも、仕上がりに満足できなかったり、期間が大幅に延びたりしては本末転倒です。
一方で、前歯のちょっとした捻れやすきっ歯など、軽度な症例であればマウスピース矯正で十分に綺麗になります。まずは精密検査を受け、自分の歯並びがどちらの治療法に適しているか、客観的な診断結果を聞くことから始めましょう。
生活スタイルを優先して決める
日々の生活リズムを振り返ってみてください。接客業や営業職で、会話中に装置が見えるのがどうしても困るという方は、マウスピース矯正が最有力候補になります。また、スポーツをしていて口元の怪我が心配な方もマウスピースが安心です。
逆に、不規則な生活をしていて装着時間を確保するのが難しい方や、間食を頻繁にする習慣がある方は、ワイヤー矯正の方がストレスなく過ごせるかもしれません。
矯正治療は数年続く長い道のりです。無理なく続けられる方法を選ぶことが、途中離脱を防ぐ鍵となります。
自己管理の得意・不得意で判断する
ご自身の性格も重要な判断材料です。「決められたルールはきっちり守れる」「コツコツ継続するのが得意」という几帳面な方には、マウスピース矯正が向いています。綺麗な歯並びになるという目標に向かって、自己管理を徹底できるでしょう。
反対に、「面倒なことは苦手」「うっかり忘れてしまうことが多い」という自覚がある方は、ワイヤー矯正が無難です。装置にお任せできるワイヤー矯正なら、意志の強さに関わらず治療が進んでいきます。
「自分ならどっちが続けられそうか?」という視点で、正直に自問自答してみてください。
費用や予算を基準に考える
最後に費用の問題です。一般的には表側のワイヤー矯正が最もリーズナブルになる傾向があります。費用を最優先にしたい方には、表側ワイヤー矯正が有力な選択肢と言えるでしょう。
最近はマウスピース矯正でも、格安のマウスピースブランドが登場しています。しかし、安さだけで選ぶと、咬み合わせなどの機能面がおろそかになったり、トラブル時の対応が不十分だったりするリスクもあります。
費用だけでなく、治療の質やアフターフォローも含めた「費用対効果」で判断することが大切です。
よくある質問
- Q. ワイヤー矯正とマウスピース矯正、どちらが痛いですか?
- A. 一般的に、マウスピース矯正の方が一度にかかる力がマイルドで痛みが少ない傾向にあります。ワイヤー矯正はワイヤー調整直後に数日間の鈍い痛みが出やすく、装置が口の中に当たって口内炎ができることもあります。ただし、痛みの感じ方には個人差がありますので、不安な方はカウンセリング時にお気軽にご相談ください。
- Q. マウスピース矯正で治せない歯並びはありますか?
- A. 骨格的なズレが大きい受け口や、歯を大きく移動させる必要がある重度の叢生(そうせい:歯が重なり合っている状態)、埋まっている歯を引き出す必要があるケースなどは、マウスピース単独では対応が難しい場合があります。まずは精密検査を受けて、ご自身の歯並びに適した方法を歯科医師に判断してもらいましょう。
- Q. 矯正治療中に食事制限はありますか?
- A. ワイヤー矯正の場合は、硬い食べ物や粘着性のある食べ物を避ける必要があります。一方、マウスピース矯正は食事の際に取り外せるため、基本的に食事制限はありません。ただし、食後は歯磨きをしてからマウスピースを装着し直す必要があります。
- Q. ワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用することはできますか?
- A. はい、可能です。例えば、最初はワイヤー矯正で大きく歯を動かし、ある程度整った段階でマウスピース矯正に切り替える方法があります。歯並びの状態や患者さんのご希望に応じて、担当医が適切な治療計画をご提案いたします。
- Q. 矯正治療の費用は分割払いにできますか?
- A. 当院ではデンタルローンによる分割払いに対応しております。矯正治療は自由診療のため費用がまとまった金額になりますが、月々の負担を軽減してお支払いいただける仕組みをご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。
ワイヤー矯正・マウスピース矯正のどちらが適しているか、まずはお気軽にご相談ください。
ご相談・ご予約はこちらまとめ
ワイヤー矯正とマウスピース矯正には、それぞれ異なる特徴と強みがあります。マウスピース矯正は透明で目立ちにくく、食事や歯磨きの際は取り外して清潔に保てるのが大きな魅力です。一方、ワイヤー矯正は幅広い症例に対応でき、自己管理なしで24時間治療が進む確実性があります。
費用や期間は症例によって異なりますが、目立たなさを重視するならマウスピース矯正、確実性や仕上がりを優先するならワイヤー矯正が有利と言えます。マウスピース矯正を成功させるには、1日20時間以上の装着を守る徹底した自己管理が欠かせません。
ライフスタイルや性格、歯並びの状態によって、あなたにとっての最適解は異なります。まずは矯正歯科のカウンセリングに足を運び、精密検査の結果をもとに納得のいく治療プランを専門医と一緒に作り上げましょう。
この記事の編集・責任者は歯科医師の井津上卓也です。
歯科医師 井津上 卓也
- 略歴
- 2020年 国立大学法人 岡山大学歯学部 歯学科卒
- 2020年 医療法人社団アップル歯科クリニック勤務
- 2023年 明石アップル歯科 副院長就任
- 2024年 4月 明石アップル歯科 院長就任
- 受賞歴
- growing up 1.0 tournament 準優勝
- セミナー
- LSGP神戸
- モリタプラクティス
- GPOレギュラーコース
- i6
- 木原先生診断力アップセミナー
- ノーベルインプラントセミナー
- i6初級GBRコース
- i6抜歯即時インプラントコース
- DXGC
- ODGC
- IPRT
