上顎と下顎に何本か歯か残っているにも関わらず、自分の歯で咬むところがなくなってしまい、バランスの悪くなってしまった状態をすれ違い咬合といいます。
すれ違い咬合になってしまうと、「どんな治療をしてもどんどん悪くなる」「顔が歪んだように変形してしまう」「背筋が歪み、姿勢が悪くなる」等の深刻な症状が現れるという特徴があります。たとえば、上顎は右側の歯が、下顎は左側の歯のみ存在していればかむところは無し、すなわちすれ違い咬合ということになります。「欠損歯列の評価とリスク予測(※1)」という論文の中では『重症 な欠損歯列とは従来からいわゆる「すれ違い咬合」症例 と言われている』と記しています。つまり、歯を失った「欠損歯列」の中でも重症であるということになります。
同時に、歯科医師に対して『二歩三歩手前で可能な限りさ らなる重症化への流れを止めることが求められる』ともあり、すれ違い咬合による機能不全を起こす前に治療を開始する必要のある咬み合わせと言えます。
すれ違い咬合の主な原因は前述した通り歯を失ったことに起因します。状態としては上は「右側だけ歯がなく、下は右側の歯が残っている」、あるいは「上は左側だけ歯がなく右側だけ歯がなくなっている」場合、もちろんその左右前後対象も同じです。
片側だけ歯が残っている状態で入れ歯をした場合、入れ歯と自然の歯が咬み合うと、自然の歯の力の方が強くなります。また、自然の歯が咬み合っている部分はその部分に集中的に咬合力がかかり、ダメージが蓄積していきます。
それらが原因で、入れ歯がすぐに合わなくなったり、咬合平面という咬み合っている部分が削れて不安定になったり、「顎堤」という残された歯槽骨と粘膜によって形成される堤状の高まりの部分が異常に吸収され顎や顔が歪みはじめ、その影響で姿勢やバランスを悪くすることもあります。
すれ違い咬合を放っておくと、自然の歯と咬み合っている部分の歯肉と下の骨がどんどん吸収され、顎が薄くなっていき、顔つきが変わってきます。
さらに、残っている歯も咬み合う歯がないので、支えを失いもろく抜けやすくなります。
また、すれ違い咬合のほとんどが難症例となるため、放っておけばおくほど治療が困難になっていきます。
論文(※1)によると、『欠損歯列は長い時間軸でみると継続的に無歯顎方向に進行する』とあります。つまり時間の経過とともにすべての歯を失っていく過程を辿っているということになります。
その対策として『現在の問題解決』と『将来歯列を重症化させない対策』を考える必要があるということです。
まずは義歯やインプラントなどの治療により、これ医異常悪化しない咬み合わせにすることで、将来的に全ての歯を失うことを阻止する対策となります。すれ違い咬合の場合、通常の義歯では対処できない場合が多く、周りの歯に影響を与えず、単体で歯を支えるインプラント治療は有効な治療法と言えます。
※1)欠損歯列は長い時間軸でみると継続的に無歯顎方向に進行する
ただし、前述したとおり、すれ違い咬合のほとんどは難症例とされており、咬み合せを整えるよう考えられた治療計画が最も重要となってきます。
インプラントは咬み合せによっては天然歯を破壊してしまう場合も、その逆の天然歯によりダツリしてしまう場合も考えられます。また、磨り減ってしまった骨にそのままインプラントを埋入することもできなくなるので、早めの治療が大切です。
治療にはなるべく早目のアプローチと、重症化させないための治療計画を考える必要があります。歯が抜けて、顎や自分の顔に少しでも違和感を感じたら、お早めにご相談ください。
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