「歯並びはきれいにしたいけれど、矯正装置が目立つのは嫌だ」と感じて、治療に一歩踏み出せないでいる方は少なくありません。特に、社会人になってからは、仕事やプライベートでの見た目の印象を気にする方が多くいらっしゃいます。
しかし、近年では技術が進歩し、周囲に気づかれにくい「目立たない矯正」が主流になりつつあります。
この記事では、目立たない矯正の種類やそれぞれの特徴、費用について詳しく解説し、ご自身に合った治療法を見つけるためのお手伝いをします。
監修:
近年、ワイヤーが目立つ従来の矯正方法ではなく、審美性に配慮した目立たない矯正を選択する方が増えています。なぜ、これほどまでに目立たない矯正が支持されているのでしょうか。その背景には、現代人のライフスタイルや価値観の変化が関係しています。
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目立たない矯正の大きな利点は、何と言ってもその審美性の高さです。
接客業や営業職など、人と顔を合わせる機会が多い職業の方でも、口元を気にすることなく治療を進められます。
また、結婚式や就職活動といった大切なライフイベントを控えている方にとっても、見た目の印象を損なわずに歯並びを整えられるのは大きな魅力です。
矯正治療は、年単位の長い期間を要することが一般的です。
その間、常に装置の見た目を気にしながら生活することは、想像以上の精神的ストレスになり得ます。
目立たない矯正は、こうした「見られること」に対するストレスを大幅に軽減してくれます。周囲の視線を気にせず、自然な笑顔で過ごせるため、治療期間中もポジティブな気持ちを維持しやすくなります。
目立たない矯正は、特に以下のようなお考えを持つ方におすすめできます。
これまで矯正装置の「見た目」のために矯正治療に踏み切れなかった方が、この目立たない装置を使うことで、見た目を気にせず矯正される方が増えてきています。
一言で「目立たない矯正」と言っても、そのアプローチは一つではありません。
主に3つの代表的な方法があり、それぞれに異なる特徴を持っています。
ご自身のライフスタイルや歯並びの状態、そしてご予算に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。
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マウスピース矯正は、透明な樹脂で作られたマウスピース型の装置を歯に装着し、定期的に新しいものに交換していくことで歯を動かす治療法です。装置が薄く透明であるため、装着していても非常に目立ちにくいのが特徴です。代表的なものに「インビザライン」などがあります。
裏側矯正は、歯の裏側(舌側)にブラケットとワイヤーを装着する治療法です。装置が全て歯の裏に隠れるため、正面からはほとんど見えません。そのため、「見えない矯正」とも呼ばれ、審美性を重視する方に選ばれています。
従来からある歯の表側に装置をつける方法ですが、使用するパーツが異なります。ブラケットには歯の色に近いセラミックや透明なプラスチック素材を、ワイヤーには白くコーティングされたホワイトワイヤーを使用します。これにより、金属製の装置に比べてより目立ちにくくなります。
透明で目立ちにくいことから、近年非常に人気が高まっているマウスピース矯正ですが、治療を選択する前にはメリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 審美性 | 非常に高い。透明なため、近くで見られない限り気づかれにくい。 |
| 快適性 | 装置が薄く滑らかなため、口内の違和感が少ない。 |
| 衛生的 | 取り外して歯磨きができるため、清潔に保ちやすい。 |
| 自己管理 | 1日20時間以上の装着が必要。自己管理能力が求められる。 |
マウスピース矯正の大きな利点は、食事や歯磨きの際に自分で装置を取り外せることです。ワイヤー矯正のように食べ物が装置に挟まる心配がなく、普段通りに食事を楽しめます。また、歯磨きの際も隅々までブラシが届くため、治療中の虫歯や歯周病のリスクを低く抑えることが可能です。
装置は薄く透明なプラスチックでできているため、装着していても口元が非常に自然に見えます。少し離れた距離での会話であれば、相手が矯正治療に気づくことはほとんどないでしょう。審美性を最優先に考える方にとっては、満足度の高い選択肢の一つです
取り外しが可能であることは、同時にデメリットにもなり得ます。マウスピース矯正は、1日20時間から22時間以上の装着が推奨されており、この時間を守らなければ計画通りに歯が動きません。装着時間を自分で管理する必要があるため、つい外しがちになってしまう方には不向きな場合があります。
マウスピース矯正は万能ではなく、歯並びの状態によっては適応が難しいケースがあります。例えば、抜歯が必要なほど歯の凹凸が激しい場合や、骨格的な問題が大きい場合には、ワイヤー矯正の方が適していると診断されることもあります。
装置が全く見えないという高い審美性を持つ裏側矯正ですが、他の方法と比較して考慮すべき点もいくつか存在します。費用や快適性など、総合的に判断することが求められます。
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 審美性 | 高い。歯の裏側に装置があるため、正面からはほとんど見えず他人に気づかれない。 |
| 費用 | 高額になる傾向。オーダーメイドでの製作や、治療に高度な専門技術が必要なため。 |
| 快適性・発音 | 装置が舌に触れるため、慣れるまでは違和感や発音(ナ行・タ行)に影響が出ることがある。 |
裏側矯正の大きなメリットは、歯の裏側に装置を設置するため、通常の状態では他人から矯正していることがほとんどわからない点です。口を開けて笑っても、装置が見える心配はありません。職業柄、口元の見た目に特に気を使う方や、矯正を知られたくないという方に適した選択肢となります。
裏側矯正は、患者様一人ひとりの歯の裏側の複雑な形状に合わせてオーダーメイドで装置を製作する必要があります。また、表側からのアプローチに比べて専門的な技術が求められるため、治療費は他の矯正方法よりも高額になるのが一般的です。
装置が舌のすぐ近くにあるため、治療を開始して間もないうちは、舌が装置に当たって違和感を覚えたり、滑舌が悪くなったりすることがあります。特に「ナ行」や「タ行」が発音しにくく感じることがありますが、多くの場合、数週間から1ヶ月程度で慣れていきます。
表側矯正は歴史のある治療法ですが、装置の素材を工夫することで「目立たない矯正」の一翼を担っています。対応できる症例の幅広さと、比較的リーズナブルな点が魅力です。
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 対応範囲 | 非常に広い。ほとんどの不正咬合に対応可能。 |
| 費用 | 目立たない矯正の中では、比較的費用を抑えやすい傾向。 |
| 審美性 | 金属装置よりは目立たないが、マウスピースや裏側矯正には劣る。 |
| 食事 | 装置に食べ物が詰まりやすく、着色しやすいものに注意が必要。 |
ワイヤー矯正は、歯を動かす力が強く、複雑な歯の移動もコントロールしやすいため、抜歯が必要な難症例から軽度の症例まで、非常に幅広い歯並びに対応できるのが強みです。マウスピース矯正では治療が難しいと診断された方でも、この方法であれば対応可能なケースが多くあります。
同じ咬み合わせの治療であれば、裏側矯正やマウスピース矯正よりも、費用を抑えられる可能性があります。目立ちにくさにはこだわりたいけれど、費用もできるだけ抑えたい、という方にとってはバランスの取れた選択肢と言えるでしょう。
いくら装置の色が歯になじむと言っても、歯の表面にブラケットを取り付けるため、唇や頬の内側に装置が当たる感触や、口元の多少の突出感は避けられません。また、カレーやコーヒーなど色の濃い飲食物は、装置のゴムに着色しやすいという注意点もあります。
目立たない矯正を検討する上で、費用と期間は特に気になるポイントでしょう。これらは治療法や個人の歯並びの状態によって大きく変動するため、あくまで一般的な目安として参考にしてください。
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以下は、目立たない矯正の種類ごとの費用相場の目安です。部分的に治す「部分矯正」か、奥歯から全体的に治す「全体矯正」かによっても費用は変わります。
| 矯正方法 | 部分矯正の費用相場 | 全体矯正の費用相場 |
|---|---|---|
| マウスピース矯正 | 10万円~50万円 | 60万円~120万円 |
| 裏側矯正 | 40万円~70万円 | 100万円~170万円 |
| 表側矯正(審美) | 30万円~60万円 | 60万円~130万円 |
※上記はあくまで目安であり、クリニックや治療計画によって異なります。
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治療期間も、歯を動かす範囲や個人の歯の動きやすさによって大きく異なります。
一般的に、部分矯正であれば数ヶ月から1年程度、全体矯正であれば1年半から3年程度が目安となります。
マウスピース矯正とワイヤー矯正で、治療期間に大きな差が出ることは少なくなってきましたが、裏側矯正は他の方法に比べて少し長くなる傾向が見られることがあります。
自分に最適な治療法を選び、「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。見た目だけでなく、ライフスタイルや価値観、そして信頼できる医療機関の選択が成功の鍵を握ります。
まず、ご自身が矯正治療において何を最も優先したいのかを明確にしましょう。
「とにかく誰にも気づかれたくない」のであれば裏側矯正、「費用をできるだけ抑えたい」なら表側矯正(審美ブラケット)、「手軽さと衛生面」を重視するならマウスピース矯正、というように優先順位を整理することで、選択肢が絞られてきます。
あなたの歯並びの悩みが、前歯だけなど限定的な範囲で解決できるものなのか、それとも噛み合わせを含めた全体の治療が必要なのかによって、選べる治療法や費用、期間が大きく変わります。
自己判断はせず、まずは専門の歯科医師に診てもらい、自分の歯並びの状態を正確に把握することが大切です。
ま矯正治療は、歯科医師の診断能力と技術力に大きく左右されます。
複数のクリニックでカウンセリングを受け、それぞれの治療方針や費用、メリット・デメリットについて十分に説明を聞きましょう。
質問に対して丁寧に答えてくれるか、メリットだけでなくリスクについてもきちんと説明してくれるかなど、医師との相性や信頼関係を築けるかどうかも重要な判断基準です。
目立たない矯正治療には、マウスピース矯正、裏側矯正、そして審美ブラケットを用いた表側矯正といった、さまざまな選択肢があります。
それぞれにメリットとデメリット、そして費用や期間が異なるため、一つの方法に固執せず、幅広い視野で比較検討することが大切です。
この記事で得た知識をもとに、ぜひ一度専門のクリニックでカウンセリングを受け、ご自身の希望やライフスタイルに最適な治療法を見つけてください。
自信に満ちた美しい笑顔を手に入れるための第一歩を、今日から踏み出してみてはいかがでしょうか。
この記事の編集・責任者は歯科医師の井津上卓也です。
歯科医師 井津上 卓也

目立たない矯正の種類と費用は?後悔しないための選び方を解説 | 公開日: 2025/11/27 | 更新日: 2025/11/27 | by
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