歯ぎしりをしてしまう原因とその対策

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歯科医が教える歯ぎしり対策

歯ぎしりの主な原因

歯ぎしりとは

歯ぎしりとは、睡眠時や覚醒時に歯を無意識に摺り合わせてしまったり、噛みしめる行為のことを言い、歯科用語では「ブラキシズム」と呼ばれています。

日常的に歯ぎしりをしてしまう人は、歯が摩耗したり、歯にくさび状の凹みが現れる他、頭痛や肩こり、首こりの原因になることもわかっています。歯ぎしりを何年もし続けると、歯に痛みを覚えたり、補綴(詰め物や被せ物)が必要になったり、肩や首のこりから手のしびれを覚えたり、慢性的な片頭痛を感じるなど、様々な症状を伴う恐れがあります。

夜中に「カチカチ」「ギリギリ」と不快な音を立てながら、歯をすり減らし、ダメージを与える歯ぎしり。ご自身では気づかなくても、パートナーやお子様から、「歯ぎしりの音がすごい」と聞いて、ご自身の歯ぎしりに気づいた方もおられるのではないでしょうか?

そのため歯ぎしりは放置せず、治療や対策を講じる必要があります。

歯ぎしりの音に不快感を感じるパートナー

どうして歯ぎしりしてしまうの?

歯ぎしりの原因は様々で、人によって異なります。歯ぎしりの状態や歯の咬耗などを見ても特定できるものではありません。

歯ぎしりは無意識のうちにしてしまうため、自身では気づいていない人もたくさんいます。また、近年では睡眠時の歯ぎしりだけではなく、覚醒時でも食いしばったり歯をギリギリしてしまう人もいることがわかってきています。

歯ぎしりには大きくわけると4つの原因が考えられますが、そのうち1つが原因の場合もあれば、複数の原因が相まって歯ぎしりをしてしまう場合もあります。つまり歯ぎしりを根本的に止めるためには、この4つのうち当てはまるものを一つずつ解消していく必要があります。

就寝中に食いしばる女性

ストレスと心理的要因

悩んでいる女性

仕事や家庭の悩み、精神的な緊張など、ストレスが高まると歯ぎしりが起こりやすくなります。リラックスできる環境やストレス解消法を見つけることが大切です。

不適切な咬み合わせ

悪い咬み合わせの写真

歯が正しく咬み合わないことで、歯ぎしりが引き起こされることがあります。根本的な咬み合わせの改善や、高さの合っていない補綴物をやり変えることで改善が期待できます。

睡眠障害

睡眠時にしっかり眠れていない女性

睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が、歯ぎしりの原因となることがあります。睡眠の質を向上させることで、歯ぎしりも改善されることが期待できます。

生活習慣の影響

喫煙風景

飲酒や喫煙、カフェイン摂取などの生活習慣が、歯ぎしりを引き起こすことがあります。適切な生活習慣を取り入れることで、歯ぎしりの予防に繋がります。

歯ぎしりのタイプ

グライディングタイプ

グライディングタイプのイラスト

グライディングタイプの歯ぎしりは、前後や左右に歯を滑らせる動きを伴います。これは通常、就寝中に行うことが多く、ストレスや不安が原因で起こることが多いです。歯と歯が擦り合わせることで、歯の摩耗や破損、そして顎関節に負担をかける可能性があります。長期にわたるグライディングタイプの歯ぎしりは、歯の痛みや顎の痛み、そして時には頭痛や耳鳴りを引き起こすこともあります。

タッピングタイプ

タッピングタイプのイラスト

タッピングタイプの歯ぎしりは、歯を上下に強く打ち付ける動作を特徴としています。主に睡眠中に無意識に発生し、歯や顎に過剰な圧力を加えることで、歯が割れたり、歯茎の後退、さらには顎関節の問題を引き起こす可能性があります。タッピングタイプは、緊張やストレス、不正咬合など様々な原因によって発生し、カチカチと音がすることから、近親者に指摘されること多い歯ぎしりです。

クレンチングタイプ

クレンチングタイプのイラスト

クレンチングタイプの歯ぎしりは、歯を強く噛み締める行為で、昼間のストレスや集中力の要求される状況で、意識的もしくは無意識的に行われます。歯を長時間強く噛み締めるため、歯の摩耗、歯茎の問題、顎関節の痛みや障害につながることがあります。クレンチングは目に見える動きが少ないため、認識することが難しいですが、顎の痛みや疲労感、朝起きたときの歯の敏感さなどの症状で気づくこともあります。

ナッシングタイプ

ナッシングタイプのイラスト

ナッシングタイプの歯ぎしりは、特定の歯をこすり合わせる歯ぎしりです。これは睡眠中に無意識で行うことが多く、ストレスや不安が主な引き金となることがあります。歯の側面に過度な圧力がかかるため、歯の摩耗、割れ、歯肉の退縮、さらには顎関節の問題を引き起こしたり、大きな音を伴うことも多いです。すり減った歯は、歯質が薄くなるにつれしみたり痛みを感じるようになる恐れがあります。

歯ぎしりを放置すると

歯ぎしりは、単発的に起こるものではありません。ひどい人なら毎夜のように歯をギリギリ・カチカチと当て続け、少しずつ歯にダメージを与えてきます。その結果、経年とともに少しずつ歯が摩耗してちびてしまったり、歯科修復物(セラミックや金・銀歯などの詰め物・被せ物)が欠けたり割れたりする原因となってしまいます。

最悪の場合は、継続的に力がかかったことによってすり減った歯から神経がむき出しになり、知覚過敏を感じたり、歯冠や歯の根が破折する「咬合性外傷」を引き起こす場合もあります。

また、強すぎる咬合力により食いしばりが激しい場合は、顎関節症の原因となることもあります。

歯ぎしりによって起こった歯の変化

歯ぎしりによって歯に現れる症状

  • 咬耗歯ぎしりによって歯が摩耗し、歯冠部が短くなっていきます。知覚過敏を起こしやすくなり、神経に近づくほど痛みが強くなります
  • 不良補綴歯ぎしりにより詰め物や被せ物、もしくはその対合の歯の形状が変わり、適合が悪くなります
  • 歯の破折歯ぎしりによって長期間歯にダメージをかけ続けると、歯冠部が割れたり、歯根が折れたりヒビが入ることがあります
  • 歯根膜炎歯と顎の骨の間のクッションの役割を担う歯根膜が炎症を起こし、歯が浮いたように感じたり、噛むと痛みを感じたりします
  • くさび状欠損歯の歯茎側の部分にえぐれたように小さい欠けが生じます。知覚過敏を起こしたり、歯が脆くなり折れることもあります
歯ぎしりによって悪くなった口腔内の写真

歯ぎしり・食いしばりの口腔内への影響

歯ぎしりの対策と予防

ストレスを軽減しよう

ストレスは歯ぎしりの最も大きな原因として考えられています。以下にすぐに実践しやすいストレス軽減法をいくつかご紹介します。

  • 深呼吸 ウォーキングやヨガ、ストレッチなどの運動を習慣化することで、ストレスホルモンの分泌を抑え、リラックス効果が得られます。適度な運動は心身の健康にも良い影響を与えます。
  • 適度な運動 深呼吸を行うことで、心拍数や血圧が下がり、リラックス効果が得られます。緊張を感じたときや寝る前に、ゆっくりと深呼吸を繰り返すことで、ストレスが緩和されます。
  • 趣味やリラクゼーション 音楽・読書・絵を描くなどの趣味や、アロマセラピー、マッサージなどのリラクゼーション法が、ストレスの軽減に役立ちます。

本当に効くの?」と思うかもしれませんが、これらの行動は歯ぎしりの原因となるストレスを緩和し、歯ぎしりの改善に繋がると考えられています。

ウォーキングをする男女

歯科医院での対策

歯ぎしりの原因や症状に応じて、歯科での治療や予防が必要な場合があります(※1)。

  • ナイトガード 歯科医院で歯型に合った歯ぎしり対策のマウスピースを作成することができます。ナイトガードは、歯ぎしりによる歯の摩耗や破損を防ぎ、顎関節への負担を軽減します。
  • スプリント療法 顎の位置・噛む位置に問題がある場合に、正しい噛む位置を探す目的で行う治療です。ナイトガードより顎の負担が少なく、対処療法ではなく原因治療に近い治療です。
  • 咬み合わせの調整 補綴物(詰め物や被せ物)の高さがあっていない場合、歯科医師が咬み合わせを調整することで、歯ぎしりの改善が期待できます。また、根本的な咬み合わせが原因で歯ぎしりが起こっている場合、歯並矯正をすることで歯ぎしりがなくなることもありますが、矯正治療で歯ぎしりがなくなるという保証はないため、歯ぎしりだけのために矯正治療を受けることはお勧めできません。しかし、歯並びを改善することで様々なお口のリスク(虫歯・歯周病・滑舌不良・咀嚼不良)を下げることができます。
ナイトガードをはめる瞬間

マウスピース

ナイトガード

ナイトガードという睡眠時の歯ぎしりによるダメージを予防するマウスピースや、スプリントというマウスピースで顎関節や歯の痛みを軽減する対症療法です。

咬み合わせ治療

咬合紙で咬み合わせをチェックする様子

咬み合わせが原因で起こる歯ぎしりに関しては、補綴物(詰め物や被せ物)の高さを調整したり、歯列矯正を行うことで正しい咬み合わせを獲得し、歯ぎしりを予防します。

咬み合わせ治療について

咬筋ボトックス治療

咬筋ボトックス治療

ボツリヌス菌が作り出す天然のタンパク質であるボトックスを、緊張した筋肉に打つことで緊張した筋肉を和らげることで、歯ぎしりや食いしばりのを軽減する治療です。

咬筋ボトックス治療について

睡眠環境を改善しよう

睡眠環境の改善は、歯ぎしりや睡眠の質に大きく関係しています。そのため、マットレスや枕など、自分にあったものに変えたり、睡眠前にリラックスタイムを設け、入浴や読書、深呼吸などを取り入れることで質の良い睡眠につながることが考えられます。

また、最近ではビフィズス菌などを使った腸活などを行うことで、睡眠の質を向上させることなどもよく言われています。

逆に「やってはいけないこと」として、寝る直前までの飲酒やカフェインの摂取、スマホやテレビ・動画の鑑賞などがあります。これらは脳の働きを鈍らせ、入眠のタイミングを遅らせたり、睡眠が浅くなる原因になると言われています。つまり日常的に行っているこれらを止めることも、睡眠環境の改善に繋がり、歯ぎしり対策になるということになります。

健やかに眠る女性のイメージ

生活習慣を見直そう

歯ぎしりは、食事のバランスや不規則な生活などが原因となることもあります。栄養バランスを考えた食事や、食事を摂る時間帯の管理などを行うことが歯ぎしりの原因の一つを解消すること繋がります。

また、睡眠のスケジュールを作り、起床・入眠時間をコントロールすることも重要です。

加えて、適度な運動を行うことで、身体が適度に疲れ、ぐっすり眠れるようになります。しかし、過度な運動はかえって興奮したり、筋肉の疲れがストレスになることも考えられます。あくまで継続的にできる適度な運動を心がけましょう。

また、起きている間にも、TCH(歯列接触癖)といって持続的に上下の歯を接触してしまう場合があります。こちらも歯ぎしり同様のダメージ・リスクがあるため、起きている間も上の歯と下の歯が接触内容意識的に気をつけたり、お仕事や勉強中もナイトガード(マウスピース)を使用することで歯や顎への負担を軽減しましょう。

バランスのとれた食事を摂る女性

※1)参考資料

歯ぎしりが気になる方へ

歯ぎしりは歯医者で治る?

残念ながら、「歯ぎしり」や「食いしばり」を止める治療というのは、現在のところ歯科治療も医療の世界でも確立されていません

そのため、ここに書いてあることを行ったからといって必ずしも歯ぎしりが治るというものはありませんが、歯ぎしりに対して今出来ることであることは確かです。

歯ぎしりを止めることはできなくても、歯ぎしりや食いしばりで破壊が始まったお口を治療するには、歯医者に行く必要があります。また、ナイトガードのように歯ぎしりから歯を守る予防的な治療ができるのも歯医者です。

歯ぎしり自体は治らなくても、歯ぎしりを治すヒントと、歯ぎしりから歯を守るためにも、歯ぎしりがある人は歯医者に行きましょう。

歯医者で歯の痛みを歯科医師に訴える患者

歯ぎしりの影響を調べて対策

歯ぎしりは、最初は「不快な音」を出すだけですみますが、これを長年繰り返すことで、歯や顎の骨は少しずつダメージを受けています。雨垂石を穿つということわざにもあるように少しずつ滴り落ちる雨垂れが石に穴を開けるのと同じで、歯も継続して力が加わると、割れたり形が変わることもあります。

いずれ「歯がしみる」朝起きると「歯の根が痛い」「顎が痛い」など、虫歯ではない歯や顎の痛みに襲われるかもしれません。そして、その痛みが出るということは、歯が相当すり減ってしまっていたり、歯冠や歯根が折れてしまっている可能性もあります。

ですから、歯ぎしりがあるとわかったら、早めに対策を講じることが大切です。まずはナイトガードで歯や顎へのダメージを防ぎながら、根本的な原因解決を目指しましょう。歯ぎしりをご家族やパートナーにご指摘されたり感じたら、お気軽にご相談にお越しください。

歯医者での相談風景

歯医者さんからのアドバイス

治療の説明をする歯科医師

この記事の監修

明石アップル歯科 歯科医師

井津上いづかみ 卓也たくや先生

歯ぎしりや食いしばりは、なかなか自身で気づくことはできません。

同居する家族や恋人に指摘を受けたり、ある時ふと鏡で歯がすり減っているのに気づいたり、徐々に歯がしみるようになって気づく場合もあります。

しかし、定期的に歯科で検診を受けていれば、歯のすり減りや破損が起きる前に対策を考えることができます。

歯ぎしりを指摘されたり、ご自身で気づいた場合は、なるべくお早めに受診してください。歯の治療は早めが肝心です。

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歯ぎしりをしてしまう原因とその対策 | 公開日: 2023/04/17 | 更新日: 2024/04/02 | by 明石アップル歯科

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